Jazz Japan誌 Vol. 132、2021年9月号ライブレビュー

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伊藤嘉章氏がJazz Japan 2021年9月号に素晴らしいライブレビューを書いて下さいました!


Set List  1st :①トリーリョス・ウルバノス  ②レイヤー・スリー ③ア・ハン  ④ルル ⑤コンフルエンシア / 2nd: ⑥トゥルー・ポット ⑦パラ・ヴォセス・コン・グランジ・カリーニョ ⑧パン・パン ⑨ブルー・イン・グリー  ⑩ハッピー・ファィャー Encore: ⑪ペーパー・マージ

■Personnel ヒロ・ホンシュク(fl,EWI)、城戸夕果(fl)、林正樹(p)、コモブチキイチロウ(b)、ダニェル・バェデール(ds)


【抜粋】(前略)ステージはアルバムでも1曲目だったカエターノ・ヴェローゾの名曲から始まった。コロナ禍で難しかったホンシュクの来日が叶い,日本で会し,限られた時間の中で交感する喜びがこの曲から満ち溢れる。ホンシュクの作編曲である②は,ジョージ・ラッセル直伝のリティアン・クロマティック・コンセプトに基づいた美しい作品で、このユニットでこその輝きを聴かせた。ゆったりしたテンポの美しい和音の流れの上で、二本のフルートの響きが最も豊かに広がるよう分担されたテーマは魅力的。そしてソロの受け渡しでは異なる個性と音色の二人が言葉を丁寧に探すような緊密で穏やかな会話をし、時にダンスならパートナーを触発するような瞬発力に展開する。とても濃密で豊潤なやり取りだった。それは⑦のエルメート・パスコアールが二人の目前で書き上け、プレゼントした愛おしさに満ちた曲でも顕著だった。複雑な和音展開に対して紡いでゆくメロディは、音に向き合う楽しさが故の真筆さが溢れ、強い力で聴くものに響いてくる。曲の終わりでは,音から離れがたい二人が長く引き延ばした響きを味わっているようだったが、それは筆者も同様だった。(中略)アルバムでのフルートx2にピアノという編成と異なり、ライヴでは林正樹(p)、コモブチキイチロウ(b) 、ダニエル・バエデール(ds)というブラジルの空気を支えるツワモノが参加し,満載のリズムの楽しさがライヴのもう一つのハイライトだった。(後略)